衛星放送とは、赤道上空約36,000kmの静止軌道上を周回している静止衛星を利用して、直接、契約世帯にテレビやラジオなどの電波を送り届ける放送サービスのことをいいます。
地上の送信局から衛星に向けて電波を送ることを「アップリンク」といい、衛星が地上の受信局に向けて電波を送ることを「ダウンリンク」といいます。 その際、衛星では約36,000kmという長い道のりで弱くなった電波を衛星内部で増幅して送り返すので、家庭に設置された小さなアンテナでも衛星から送られてきた電波を受信することができます。
日本の衛星放送は、用いられる人工衛星によって、放送衛星(BS:Broadcasting Satellite)を使用するBS放送と、 通信衛星(CS:Communication Satellite)を使用するCS放送の2つに分けることができます。
スカパーJSATが自社所有の通信衛星を使用して行っている有料多チャンネル放送サービス「スカパー! 」は、日本で唯一のCS放送です。スカパーJSATでは、「スカパー! HD」の放送に、東経124度と128度上の2つの通信衛星を使用。「スカパー! e2」では、BS放送の放送衛星と同じ、東経110度上にある通信衛星を使用しています。
電波は、1888年にドイツの物理学者ハインリヒ・ルドルフ・ヘルツがその存在を証明して以来、衛星放送はもちろん、テレビ、ラジオ、携帯電話、リモコン、MCA無線、GPS、VICS、電子レンジ、ICタグなど様々な分野で利用されています。
電波は電磁波の一種で、その名のとおり、波として進んでいきます。 波の山と山の間の距離、あるいは谷と谷の間の距離を波長といい、単位はメートル(m)です。また、波が1秒間にいくつ通り過ぎるかをその電波の周波数といい、単位はヘルツ(Hz)で表します。
衛星放送で使われている電波の周波数は10GHz(ギガヘルツ)以上! ギガヘルツは、ヘルツ(Hz)の10億倍なので、10GHz以上の電波とは、1秒間に100億回以上振動する電波ということになります。
電波の速さは、光と同じ、1秒間に約30万kmです。
周波数は、1秒間に通り過ぎる波の数なので、波長と周波数の関係は以下のように表すことができます。
周波数(Hz)×波長(m)=30万km
この式から、周波数が高くなれば波長は短くなり、周波数が低ければ波長は長くなるということがわかります。
そして、この波長の長い・短い、周波数の高い・低いで電波の性質とその活躍分野が変わってくるのです。
次項で、周波数による電波の伝わり方や、電波の種類と活躍分野をご紹介しています。
電波は周波数や波長によって伝わり方や性質が異なります。 衛星放送で使われているのは、3GHz(ギガヘルツ)〜30GHz(ギガヘルツ)のマイクロ波(SHF:Super High Frequency)と呼ばれる周波数帯に属する電波です。 マイクロ波の波長は1cm〜10cmで、直進性が強い性質を持つため、特定の方向に向けて発射するのに適しており、電波自身の持つエネルギーが高いため、電離層を突き抜けて宇宙まで達します。 また、伝送できる情報量が非常に大きいことから、衛星放送だけでなく、電話局間や放送の送信所間を結ぶ固定の中継回線、衛星通信、無線LANなどに利用されています。
衛星放送では、台風などで大雨が降ると、画面にノイズが生じたり、一定量以上の降雨があると映像を受信できなくなることがあります。
これを、「降雨減衰」といいます。
「降雨減衰」は、雨粒によって電波が吸収・反射されて減衰する現象で、衛星放送では、衛星とアンテナの間に雨粒の層があると、電波が影響を受けて減衰してしまいます。
降雨減衰の影響は、電波の波長が雨粒のサイズに近くなるほど大きくなります。
例えば、10GHz(ギガヘルツ)の電波の波長は約30mmですが、これ以上高い周波数になると、波長が雨粒の大きさに近くなり、「降雨減衰」の影響が大きくなります。衛星放送では一般的に、Kuバンドと呼ばれる12〜18GHz(ギガヘルツ)の周波数帯の電波を利用しているので、降雨減衰の影響を受けやすく、大雨が降ると画面が乱れるのです。
スカパーJSATでは、降雨減衰への対応策として、「スカパー! 」の放送に「消失訂正符号」を採用。降雨によって送信データの一部が受信できなかった場合でも、受信できたデータだけで元の映像を復元できるようにしています。
今日本では地上放送のデジタル化が急ピッチで進められていますが、日本のデジタル放送の先陣を切ったのはCS放送の「パーフェクTV ! 」(現「スカパー! 」)でした。 1996年に「パーフェクTV ! 」がデジタル化により、テレビの新しい楽しみ方を提供する有料多チャンネル放送サービスをスタートさせてから4年後の2000年12月、BS放送もデジタル放送を開始しました。 そして、2002年3月には、BS放送と同じ静止軌道上の通信衛星を使った東経110度CSデジタル放送「スカパー! e2」サービスも始まり、続く2003年12月には、地上デジタル放送が三大都市圏を皮切りにスタートしました。 しかし、BS放送や地上放送がデジタル放送を開始した頃、「スカパー! 」では、すでに放送のHD化への挑戦を開始! 2005年11月には、2003年に標準化されたばかりの動画像圧縮方式である、H.264/AVCコーデックを使用した放送実験を行い、2008年10月には、ハイビジョン多チャンネル放送サービス「スカパー! HD」をスタートさせ、放送のHD化においても業界をリードしています。
放送のデジタル化の進展と共に急速に普及したのが、地デジ/BSデジタル/110度CSデジタルの三波共用チューナーを搭載したテレビや、BS・110度CS共用アンテナです。
総務省では、こうした受信環境の変化を踏まえ、 2009年2月、衛星放送における制度整備を行い、BSデジタル放送と110度CSデジタル放送を制度上 「特別衛星放送」として統合し、その普及政策を一体化することを決定。それ以外の衛星放送は「一般衛星放送」と位置づけました。 これにより、「スカパー! e2」は、「特別衛星放送」に。「スカパー! HD」は、「一般衛星放送」に区分されることになりました。
スカパーJSATでは、デジタルテレビの普及を背景とする「スカパー! e2」の加入者増に対応するため、2011年、(株)放送衛星システムと共同で、東経110度に日本初のBS/CSハイブリッド衛星を打ち上げる予定です。